最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)2535号 判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告人の上告趣意について。
しかし主要食糧配給通帳が架空の人物名義のものである場合にその事実を知りながら名義人が実在するもののように装いその通帳を配給所に提出して主要食糧の配給を受けたときは詐欺罪が成立するのであるから食糧緊急措置令第一〇条本文の適用はないものと解すべきである。然らば原審が判示第一事実につき詐欺罪をもって問擬したことは正当であるから論旨は理由がない。
よって刑事施行法第二条旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。
この判決は全裁判官一致の意見である。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 塚崎直義 裁判官 小谷勝重)